インタビューインタビュー

馬と人インタビュー 第2回 松尾康司

  • 更新日:
    2012年11月14日
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岩手の馬、と言えばこの人に話を聞かないわけには行かない。ドクトル松尾=松尾康司さん。

オーロパーク自慢のダートコースのカーブ

「競馬なんて、しょせんギャンブルなんじゃないの?」

と思う方も多いはず。しかし、競馬の魅力はそれに留まらないと競馬関係者は口を揃える。そこでいわて競馬と共に30年!の競馬ジャーナリスト・松尾康司さんを直撃してみた。

いったい競馬の面白さってなんですか?

松尾「何よりも馬が走るってこと。当たり前のことだけど、船でも自転車でもない、生きた動物が走るだけだから賭け事としてリスクがある。不確定要素も多いからこそ面白い」

静かに話しだした松尾さんだが、徐々に言葉に力が増していく。

松尾「でもね、とにかく馬の走る姿はキレイ。単純にそれを見られるだけで競馬場に足を運ぶ価値は十二分にある。こんなこと言うのは何だけど、最初は競馬新聞の読み方なんて二の次でいい。目、毛並、馬体のラインなどに惹かれた馬がいたら迷わず買ってほしい」

まず1頭、自分が心惹かれる馬を探して馬券を買ってみる。運よく当たったら、その日見た状態はとても調子よかったということ。それを基準に、わが子を見守るように1頭の様子を追いかけてみると、仕上がりの違いが感じられる。さらには、馬の力を引き出す騎手、毎日の世話をする厩舎の人たちによっても調子が変わる。その奥深さこそが競馬だと松尾さん。実は初めて海外競馬を観た20代の頃、国による競馬の楽しみ方の違いを肌で感じた。

松尾「イギリスはゲームとしてクールに賭けを楽しむし、当時の香港競馬はまさにギャンブル。オーストラリアはピクニックがてら競馬を楽しむ。時代によってそのスタイルも変化しているが、日本の場合ファンが心から馬を応援する風土があるし、他国にはないドラマ性があるんだよ。」

そんな松尾さんに岩手競馬の特徴を尋ねると、「岩手は1頭の馬を本当に丁寧に育てている」という。なかなか芽の出ない馬でもじっくり育てて走らせる岩手競馬の人たちには、心の根っこに馬に対する敬意の気持ちがあると…。

あれこれ質問を重ねるうち、話は岩手の競馬場施設に及ぶ。なんと盛岡のオーロパークは、国際レースも可能な条件が整っていると聞きびっくり。

松尾「盛岡競馬のダート(砂)コースは、スポーツとしてスマートに競馬を楽しむアメリカを参考に造られたエンターテインメント性を重視したつくりになっている。馬はコーナーを曲がるとき、どうしても惰性で走るから本来の実力馬じゃない馬にも勝つチャンスがある。ところが、盛岡競馬場は同じ距離でもコーナーが少なく直線が長い。これは国内でも珍しく、ここで真に世界一の馬を決めるレースもできる!しかも、直線の競り合いをファンが肉眼で観戦できる、非常によくできた競馬場なんです。」

やや濃い話になって来ましたが、とにかくかわいい1頭との出会いが先。まずは競馬場へ行ってみよう。

出典:もっと!岩手の馬と人の文化を伝えるフリーマガジン「馬と人」(岩手県 農林水産部 競馬改革推進室)

プロフィール

松尾康司

学生時代に牧場で馬の世話をするアルバイトをしたことで馬に魅せられる。
以来30年、岩手競馬はもちろん、全国の競馬場、世界各国の競馬取材を重ねてきた。岩手競馬の予想紙記者、地方競馬初の情報誌「テシオ」編集長を経て、現在は「いわて馬/テシオ」編集長を務める。

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