馬をもっと知る馬をもっと知る

馬と人を知るにあたって、まずは、馬の基本的なことを知っておきましょう。
これを読むと、馬と人をもっと身近に感じることができるはずです。

馬のからだの大きさについて

80cmの小さな馬から、180cmの大きな馬まで。馬にはたくさんの種類があります。

馬の大きさの測り方はいろいろありますが、普通は体高(地面から肩の高さ)、胸囲、体重などで表します。
その大きさは馬の種類によってそれぞれ違います。

●大きな馬
体高170〜180cm・体重800〜1000kg
これらの馬は、馬車を引いたり、荷物を運んだりする使役馬として飼育されてきました。
主な種:ペルシュロン種 ブルトン種

●比較的大きな馬
体高160〜170cm・体重400〜500kg
これらの馬は乗馬や競馬などに多く使われています。
主な種:セルフランセ種 サラブレット種

●比較的小さな馬
体高120〜150cm・体重350〜400kg
これらの馬は乗用に使われたり、ポロ競技などに使われます。サラブレットのもとになったアラブもこの大きさです。 主な種:ハフリンガー種 アラブ種

●小さな馬
体高80〜100cm・体重30〜100kg
もっとも小さい馬には世界一小さいファラベラのように80cm以下のものまでいます。大型の犬よりも小さなこの馬たちは子供の乗馬やペットとして飼われています。
主な種:アメリカンミニチュアホース種 ファラベラ種

馬の目の特徴

350°も見れる目、左右の目で別々のものを見ることができます。

馬の目の最大の特徴はなんといってもその視界の広さでしょう。馬の視界は頭の真後ろを除いた350°を見渡すことができます。また、馬の目は単眼視といって左右の目で別々のものを見ることができます。これは馬が野生だったころ、近づく肉食動物たちをいち早く見つけて、走って逃げるために役立っていたと考えられます。また、馬の眼球は哺乳動物の中でももっとも大きく、奥行きが44mm、縦横が48mmそして重量が100gもあります。ワシの眼球が65g、ブタの眼球が19gであることを考えるととても大きな目であることがわかります。

馬の鼻のはたらき

馬は鼻呼吸。たくさんの空気を吸えます。

イヌは人間の100万倍も嗅覚がすぐれているといわれています。これは一定の臭いに対して非常に敏感であることを示していて、何でも100万倍という訳ではありません。
馬はイヌ程ではありませんが、とても臭いに敏感な動物です。自分の子供や飼い主を臭いで区別します。
また、馬は自分の家に帰ることができる帰巣本能が強いといわれていますが、これも臭いを頼りにしているといわれています。しかし、馬の鼻が大きいのは臭いに敏感なだけでではなく、馬は鼻でしか呼吸できないため、早く走るときなどは、走りながら空気をたくさん吸えるように鼻を大きく開きます。

馬の耳のはたらき

馬の耳は、まるでレーダー。感情も耳の動き表現します。

馬はとっても音に敏感な動物で、耳はまるでレーダーみたいに180°回転して音のする方角を探します。これは馬の耳のまわりに10の筋肉があり、それにより動かすことのできるのです。発達した筋肉により左右別々に耳を動かすことができます。この耳の動きは、目の視界の広さと同じく、馬が野生であった頃に、敵が近づくのをいち速く察知するためのものと考えられます。
また、馬の耳の動きは感情を表したりもします。敵を威嚇するときは後ろに寝かせたり、まわりに注意を払うときは音のする方や初めて見るものの方へ顔を向け、耳を立てて警戒します。

馬の足について

馬は、人間でいう中指だけで立っています。

人間の手足には5本の指があり、足の踵(かかと)から下を地面につけて立っていますが、馬の足(肢)を見ると『蹄(ひずめ)』と呼ばれる堅いものがあるだけで、指や踵にあたるものが見られません。実は、馬の足(肢)を人間に置き換えてみると、中指の先だけで立っていることになります。これは、中指以外が退化して、中指の爪が蹄に変化したからです。ですから、馬の後足(肢)の中程にある後方に少し出っ張った関節は、人間の踵に相当します。

馬の好きな食べ物

馬は、リンゴも角砂糖も好き。一日にたくさんの干し草を食べます。

日本は馬の好物というとすぐにニンジンを思い浮かべますが、外国ではリンゴや角砂糖などの甘いものを喜ぶと言われています。主食としての食べるものは青草(干し草)などです。馬が食事をするときは、まず上唇でより分けた草などを前歯でかみちぎり、舌を使って奥歯まで送り込みます。そして臼歯(きゅうし)で挽くようにすりあわせて、細かくして食べます。

主食:比較的大きな馬が一日に食べる干し草の量
12kg〜17kg

おかず
エン麦、大麦、大豆
とうもろこし、ニンジン

おやつ(ごほうび)
りんご、ニンジン、角砂糖

水:比較的大きな馬が一日に飲む水の量
だいたい25リットル

馬の寿命

馬は20~30歳の寿命。

もっとも寿命の長い動物は実は人間であり、カメが200才ぐらいまで生きたという記録もありますが、それは非常に特殊な例で、100才以上の長寿が多く見られる動物は人間だけです。馬の平均的な寿命はだいたい20〜30才といわれており、40年も生きればとっても長寿な馬といわれます。
ギネスブックにのっている最高年齢の馬は62才と言われており、動物としては比較的長い寿命といえるでしょう。

ゾウ 平均40〜50才 最長70才
ウマ 平均20〜30才 最長62才
カバ 平均40才 最長49才
サイ 平均40〜45才 最長47才
チンパンジー 平均15〜20才 最長38才

馬の睡眠時間と寝る姿勢

馬は、立って眠ることもある!

草食動物は、馬をはじめとして一般的に睡眠時間が少なく馬はだいたい4時間くらいです。これは外敵に襲われたりすりので、絶えず警戒していた野生の頃の習性が残っているものといわれています。また、草食動物は餌を食べる時間が長いため、睡眠時間が少ないとも言われています。
馬の睡眠姿勢は3本足で立って眠る場合と、腹ばいになって眠る場合があります。疲れているときや子馬は横たわって寝ることがあります。

馬の力

馬はいろいろな大きさや種類のものがいて、一口に馬の力といっても正しくは表現できません。しかし、馬はみなさんが思っているようにとっても力持ちな動物です。馬が力強く活躍しているところは北海道でおこなわれている『公営ばんえい競馬』で見ることができます。この競馬は750〜1000kgもある重いソリを引いて競争する競馬で、とても力強く走ります。この他にも同じような競争をおこなう『お祭りばんば大会』があり、これは北海道をはじめとして、東北、地方などで行われています。このように重いソリを引いて競走できる馬はとっても力持ちといえるでしょう。これらの競走やばん馬大会は、昔、馬が農作業をはじめ、荷物、木などを運んだり、サトウキビの汁を搾ったりする仕事で力を発揮していた頃の名残です。しかし、自動車や機械の発達により馬の仕事は少なくなり、今では、働く馬の姿はごく一部の地域でしか見ることができません。沖縄では高齢の方で今でも自家用車として利用している人もいます。

●ホースパワー
馬力のことです。
1秒間に75キログラムの重量を1メートルの高さに揚げる仕事の量を1とする単位です。これを1馬力といいます。
蒸気機関を発明したワットは、馬よりも蒸気機関の方が力があることを証明するために、この馬力という言葉を使いました。皆さんも、この車は100馬力あるとか、馬力がたりない、などという話を聞いたことがあると思います。

ポロシャツ

ペルシャで始まった馬に乗って行う球技に、ポロと呼ばれる競技があります。今日では、4人ずつ2組に分かれ、1個の木のボールを、馬に乗ってマレットと呼ばれる道具で相手側のゴールへ打ち込み合って、勝負を競うスポーツです。
このポロ競技のときに着る競技用のシャツを、ポロシャツと言います。

スーツの後ろ:ベンツ

背広などの後ろの切れているところをベンツといいます。そもそもは、馬に乗りやすいようにした機能的な上着です。
15〜16世紀ごろのヨーロッパでは、洋服の派手な裏地を見せるための切り開きで、これをベンツといいました。中央が切り開いているのがセンターベンツで、横の2ヶ所が切り開いているのがサイドベンツです。
皆さんも、身近で見ることができます。

あん馬

オリンピックの体操の種目になっている競技のひとつに、あん馬があります。この競技はもともと、馬に乗って戦うときのいろいろな技を、訓練したのが始まりです。ときとともにすこしずつ変わり、今日のような競技スタイルになりました。引用:馬のからだ 馬のいろいろパート4(社団法人日本馬事協会)

馬の表情

1.馬の笑い
馬は、わずかですが笑います。馬の笑いを「フレーメン(上唇と鼻先にしわを寄せ、歯をみせる仕草。ブレーメンの音楽隊ではありません。)」と、呼ばれています。オス馬が発情したメス馬を見ると、この仕草をします。

2.おどろいたとき
おどろく原因にもよりますが、耳をおどろいた方向に向け、目はそれをじっと見つめます。鼻の穴を大きく広げ、フッフッと荒い鼻息をはきます。頭を高くあげ、しりを低くして、いつでも逃げ出せる姿勢をとります。

3.こわいとき
まず、耳を後ろにふせます。そして、くびと頭を前方に伸ばし、しりを低くし、尾を足の間に入れます。少しずつ後ずさりするか、いつでも逃げられる準備をします。

4.怒ったとき
パッと耳を後ろにふせます。そして、鼻にしわをよせ、歯をみきだして噛みつこうとします。

5.けろうとするとき
耳を後にふせ、頭を低くし、ける相手を一瞬じろりとにらみます。

引用
公益社団法人 日本馬事協会 普及啓発パンフレット
馬のいろいろパート1 馬のからだ (公益社団法人日本馬事協会)
馬のからだ 馬のいろいろパート4 (公益社団法人日本馬事協会)

interview 80_170px

馬と人インタビュー 第6回 八丸由紀子

馬とともに生きる暮らしの中には、人間の成長にとって、大事なヒントが隠されていた。

interview DSC01277

馬と人インタビュー 第5回 岩手大学馬術部

馬と共に。友と共に。 キャンパスライフを送る 北東北の玄関口、盛岡駅から少し北に行った場所に、緑に囲

history uk_103_2_180

馬と人 ー物語のかけらを探してー 

はるか昔から 心を分かち合うパートナーとして人々の傍らで暮らしてきた馬たち。岩手のあちこちをめぐると

history 53bahan_180_170

2011年(平成23年) 遠野馬搬振興会を設立

  遠野馬搬振興会が、岩手県遠野市の馬搬に関係する関係者で設立されました。地域の伝統技術で

culture 遠野郷土人形民芸村_170

遠野郷土人形民芸村 附馬牛人形

遠野郷土人形民芸村は、遠野地方で江戸時代から作られ始めた「附馬牛人形」を収集し、保存展示するために平

culture chag_170

鬼越蒼前神社 チャグチャグ馬コを見てみよう

岩手県は、古くから馬産地として知られています。江戸時代以前は、主として軍馬や騎馬として使われていまし